メジロマックイーン関連ニュース
夏を思わせるような陽気にGW特有の和やかな雰囲気と大国魂神社の大祭が彩を加え、今日の東京競馬場の雰囲気はまさに最高。
彩り豊な競馬場に華を添えるかのように、パドックでは乗馬によるデモンストレーションも行われる。
競馬場全体を包む空気が、先週とはまったく違うもの。
ぼくは流れてくる心地よい風を十分に楽しみながら、時が訪れるのを今か今かと待っていた。
▲ 華やかな乗馬デモンストレーション
やがてパドックへ入場してきたアルタイスの身体は、夏のような日差しに照らされてより一層黒く輝いていた。
この黒光りする身体がいけない。魅惑の漆黒は物という物を全て吸い込んでしまうブラックホールのように、じぶんの想いをどんどんと吸い取り、そして心の奥底からどんどんと期待感を引き出していく。
3走前に未勝利戦を戦い共に敗れたマンハッタンスカイは既に未勝利を脱出し、この日の西のメインレース京都新聞杯でダービー出走を虎視眈々と狙っている。
負けられない。
ダービー出走の夢は儚くも散ったが、秋に向けて、そして未来に向けて負けられない気持ちで心は溢れていた。
▲ 黒光りしてピッカピカ
▲ でも目の活力はいまいち?
パドックでの周回に問題はなく、馬場入り後もスムーズに終えた。後は勝つだけ。
漆黒のブラックホールに吸い込まれたぼくの目と想いは、アルタイスだけを追い続けた。
出遅れたことも、後方の内で包まれ苦しい競馬を強いられていることも分かっていたが、それでもどこからでも飛んでくる自信があった。どんな競馬でも負けられない強い気持ちがあった。
吉田豊が鞭を振るうタイミングに合わせて声を張り上げる。先週は声の後押しをする場面すら与えられなかったが、今日は違う。
馬群をさばくのに手間取っていることも、残された距離が少ないことも分かっていたが、それでも声を張り上げた。
「豊来い! 差せ! 差せ! 差せ!」
やがてアルタイスが外から飛んでくる。斜め横から見ているせいで、内で粘る前の馬との間隔が分からない。だが一完歩ずつ確実に詰めてくる脚に勝利を確信したぼくは、カメラのファインダーに目を落とした。
実際にはその瞬間がゴールだった。
▲ 走り出した雰囲気はマックを彷彿とさせる
▲ 勝ったと思ったが……
▲ これがウィナーズランだと……
ファインダーに囲まれた世界から目を戻し、少しの時間を置いてからその事に気が付きがっくりと肩を落とした。掲示板は写真判定になることもなくあっさりとアルタイスが2着に負けたことを告げていた。
しばらくの間放心状態は続いた。相変わらず馬券は1円も買っていなかったが、いつも失ったものの大きさは大金以上だと感じる。実際に大金をかけたことがない人の人間が言うことではないかもしれないけれども。
こういう敗戦に出くわすと、自分のやっていることを馬鹿らしくなるときがある。特にこの日は前日の発熱をおしての出陣だっただけに。
それでもまた競馬場に足を運んでしまうことだろう。
夢の実現を願っているから。
愛の奇跡を信じているから。
何よりもマックが、マックの子供が大好きだから。