メジロマックイーン物語『栄光と挫折は紙一重』
エピローグ「4月3日」
「マックが先ほど亡くなりました」
それは北の友から送られてきた突然の知らせだった。
マックイーンは2006年の4月3日、自身の誕生日に天国へ旅立った。誕生日と命日が同じとは、なんてすごい役者魂なんだろうか。思わずぼくは苦笑いをした。悲しみに浸るよりもまず先に。
それから数時間後に訃報が公にされると、ここは人で溢れた。かつてない量の書き込みがあり、溢れるほどのメールが送られてきた。
マックがこの世にいなくなってからもう何年も経とうとしているが、それほど感慨に浸ることは多くない。
ただ目を閉じればあの日の感動や興奮がすぐに胸の中で蘇るし、数々の苦い思い出が胸を少し締め付ける。それはきっと心の中でマックが生きている証なのだろう。
だからぼくは心に誓う。
マックを永遠に生かし続けるために、ぼくが生きている限りマックをずっと語り継いでいこうと。この胸に残る熱いものが冷めぬよう、マックがどんなに強かったかを、どんなに偉大だったかを話し続けようと。
でも決して未来の馬と比べてマックの方が強かったとか、最強馬がどうだとか、そんなことを言いたいんじゃなくて。
そうじゃなくて。
「マックが死ぬほど好きで好きで好きでしょうがない」
ただそれだけのことが言いたいだけ。
2007年3月某日 了
2015年3月某日 加筆・修正