メジロマックイーン関連ニュース
夢への確かな道筋描いた逃走劇
▲ 遂に刻まれた天皇賞に出走するマックっ仔の名
▲ 入場時はややチャカチャカと
▲ 目を瞑り何を思う
菊花賞と同じように、スルタンは淀の下り坂を先頭で降りていく。その走りは去年よりも力強く、直線入り口で後続を「グイッ」と引き離した距離も大きく。
「行ける。行ける。そのまま行け。ノリ! ノリ! ノリ!」
外から飛んで来た馬たちに交わされるまで恐らく10秒ほどだったのだろう。だけどもそれは菊花賞よりも確かに長く、その分だけ夢は更に現実へと近づいた。
レース内容も文句のないものだった。
スタートをばっちしと決め、すかさず先手を主張してしまえばこっちのもの。1馬身ほどリードを保った時点でスルタン閣下のレースになることが決定した。ノリの支配下に入った長距離戦で序盤から絡んでいけるジョッキーはいない。
1000mの通過タイムが1分1秒ほど。
最初の入りとしてはこれ以上ないものだ。誤算があったとすれば、そこからしばらく早いラップを刻んだにも関わらず、馬群がそれほどスルタンから離れなかったことか。
後続との差を見て、現地で見ていた印象ではペースが相当に緩いのかと思っていたのだが、実際はそうではない。
それはスルタンをマークしていた騎手が多かった証だろうし、ノリが戦前に語っていた「甘くない」ということなのだろう。
しかしそこは腕達者の横山典弘だ。向正面に入ると12秒台後半を並べてしっかりと息抜きをはかる。スルタン閣下の走りも実にリズムカルで、折り合いを欠く場面など皆無。気持ちよく先頭を快走していく。
やがて勝負どころの坂上。自分たちの思いがたくさん詰まった淀の2周目の坂を、スルタン閣下は多くの思いと夢を背負いながら懸命に駆け上り、そして駆け下りた。
▲ 夢を背負ったその身体
大きく膨らんだ夢と希望は残り200まで辿りついた所でまたもや消え失せた。
だが全力で挑んで得た結果に悔いはない。
何より夢を掴みとれる実感が、この先に繋がっていく。夢は夢を信じきれる者にしか掴めない。けれども実感がない夢を信じきることもまた難しい。
菊花賞以上に夢を実感できたことは、夢を信じきれる力をもっともっと大きくしていくだろう。
淀の坂を先頭で駆け下りてきたスルタン閣下への熱い思いが、ドキドキした気持ちが、夢を信じきれる確かな力と勇気になってくれるはず。
天皇賞親子四代制覇はしばらくのお預けとなったが、夢はこれだけじゃない。
マックっ仔悲願の GI 制覇へ。父が苦杯を舐め続けた秋のリベンジへ。
夢はここからはじまっていく。
▲ 父を思い起こさせる雄大で丸みを帯びた身体
▲ また共に闘おう