メジロマックイーン関連ニュース
冠へ辿り着ける路は狭く険しく
今日の天気は澄み渡る青空、まさにピーカン。
前日からの雨が残り馬場状態はやや重だったが、ルマンにとっては4戦目ではじめて迎えるお日様の元での競馬。満天の日差しを受けルマンの馬体はピカピカと輝き、休み明けを叩いた後も順調に乗り込まれながら体重も増え、体調の良さを見て取れた。
入れ込むこともなくゆっくりとパドックを周回し、返し馬もスムーズにこなし、何の不安も見当たらない。前走の競馬を思い出すと、尚更負けるイメージが浮かばない。負けるわけがない。
レースも実にスムーズだった。5、6番手の外できっちりと折り合い、勝負どころにかけて徐々に進出すると、持ったままの手応えで直線へ。
手綱をほとんど動かすことなく先頭に並びかけた瞬間、勝利を確信した。
だが交わせない。交わせそうで交わせない。徐々にルマンの脚色がなくなっていく。唐突に訪れた危機に、予期していなかった展開に、こちらも声が出せない。「あれ?」「えっ?」「嘘……」。
結局1馬身の差が最後まで埋まらず、前走に続いてまたも2着。
今日のところは完敗。だがそんな風に割り切って受け入れられない気持ちが多々ある。
「前走勝っておけば……」
いつも言うように競馬にタラレバは意味がない。しかしこうやって未勝利を転戦するはめになったことを考えると、前走はやはり大きな一戦だった……。
メインに出走するディアジーナにとっても、ここは将来を別ける大きな一戦となる。
重賞で負けは許されないと大きく出るつもりはないが、今後を考えれば2着がどうしても欲しい競馬。それは1番人気に推されたミクロコスモスにとっても同じだろう。どんなに素質がある馬でも、18頭の出走枠に入れなければチャンスは0だ。
クラシックへの路は年々その幅を狭めている。
ディアジーナは遅生まれで子どもっぽいところがあると聞いていたが、パドックで見る姿は落ち着き払い大人びたもの。だが強い日差しに時折眼を瞑る仕草や、透き通った眼はキュートな女の子の姿。
抜群のレースセンスを誇るジーナは、今日もばっちしとスタートを決めると、ハナを切るような格好を見せながら、先手を主張する馬が現れるとあっさり譲って2番手できっちり折り合う。
内にはダノンベルベールを閉じ込め、すぐ後ろではミクロコスモスが虎視眈々。
クラシックへの路は、直線の残り200m でその姿を顕した。
ディアジーナの横に僅かなスペースを見つけたミクロコスモスの武豊騎手は、迷うことなくそこへ突っ込む。が、次の瞬間に内田騎手はそのスペースを消し去るようにディアジーナを進ませた。
まっすぐに伸びるクラシックの路へと。
必至に追いすがるダノンベルベールをクビ差退け、ゴール版を先頭で駆け抜けたディアジーナは、重賞初挑戦を勝利で飾るとともに、これからはじまるクラシック路線の出走権をしっかりと確保した。
一方でゴール前でも行き場を失ったミクロコスモスは目論んだ賞金稼ぎに失敗し、必然としてトライアルにまわることになるだろう。
競馬はちょっとしたことでその先の未来が分かれる。
メジロルマンの敗戦とディアジーナの勝利を見て、改めてそのことを痛感した。
連勝のご褒美で与えられるであろう「ゆったりとしたローテーション」で、ディアジーナはいよいよ西へ。そこはエイダイクインが歩み、そして辛い試練が待っていた路だが、何も恐れることはない。未来を信じる気持ちがすべてに勝る力を与えてくれる。
素晴らしい景色 Buena Vista は、負の歴史を超えることで僕たちの中で生まれる。
▲ 陽を受けピカピカの身体
▲ 気持ち良さそうな瞳
▲ 返し馬
▲ 交わせそうで交わせずまさかの敗戦
▲ 端正な顔立ちのディアジーナ
▲ 時折、眩しそうに眼を瞑る
▲ 澄んでて綺麗な眼
▲ 相性抜群のパートナーと
▲ 前すら見ずに必死で追う内田騎手
▲ クラシックへと続く路を先頭で駆け抜けた
▲ ジーナおめでとう!
© JRA
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