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[RACE REPORT]ホクトスルタン、無念の日経賞(GII)


今こそ試される信じる気持ちと強き心

 抑えきれないぐらいの手応えで駆けていく馬が、押してハナを主張していかなくては行けない。苦戦必至の序盤だったが、それでも地力に期待をした。いつもより行きっぷりが悪く、向正面で早々と捕まりかけていても、ペースを落としているだけだと信じた。4コーナーで外の馬と明らかに手応えが違っていても、もう一度差し返せるはずだと気持ちは熱いままだった。だが……。
 パドックに姿を表したホクトスルタン閣下は、より白みを増し、父の面影を残すどころか瓜二つ。瞬間的に思い出したのは、もう十数年も前になる産経大阪杯でのマックの圧勝劇。あの時もマスコミなどに散々と不安を煽られるだけ煽られたが、マックはそれを5馬身ぶっちぎりのレコード勝ちで一蹴した。
 マックのコピーが目の前を通り過ぎていくたびに、あの時の興奮が蘇るのではと胸は高鳴った。周りが呆れるほどの強さで、堂々と淀へ。思い描くのは中山の急坂を、力強く先頭で走りぬいていく閣下の姿だけ。
 ……4コーナーを過ぎてすぐにスルタン閣下の抵抗は終わった。渡された結果は10着。
 非常に残念な競馬だったが、こういう時こそ我々も真価が問われる。
 文句や愚痴を言うことは容易い。現実から目をそらす事だって簡単だ。だけど今までそういうことをしてきて、事態が好転したためしがない。
 馬に対して直接的には何も出来ないファンという立場である以上、この現実をしっかりと受け止め、胸に燻る苦い思いを押し殺して、なお信じぬく強い気持ちで声援を送り続けること。それこそが望む夢の実現に到達する唯一の路だと信じたい。
 今こそ競馬の神様に試されている。
 去年できたように、ただ信じる気持ちだけで熱い声援を。上手くいかない失意にまみれた時こそ、心を一つに声援を。
 十何年に及ぶ悔しさの積み重ねで固められた心は、こんなことでいちいち崩れてしまうほどやわではない。そうでしょ?

スルタン閣下の帰還をお待ちしておりました
 ▲ スルタン閣下の帰還をお待ちしておりました

随分と白くなった馬体
 ▲ 随分と白くなった馬体

少し気が抜けているような表情
 ▲ 少し気が抜けているような表情

新しい相棒を背に、闘いの舞台が再び幕を開く
 ▲ 新しい相棒を背に、闘いの舞台が再び幕を開く

いつものように他馬を引き連れて
 ▲ いつものように他馬を引き連れて

びっくりするぐらいにマックに似ていて……
 ▲ びっくりするぐらいにマックに似ていて……

抵抗もここまで……
 ▲ 抵抗もここまで……

次はこうはいかない
 ▲ 次はこうはいかない

[2009 03/29]

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