ホクトスルタン閣下の目黒記念連覇は叶わず

負ける度に試されるのは、信じる者の心の強さ

　ダービーの勝ちタイムが2分33秒7。7R の後に降り始めた豪雨は、府中の馬場を極限まで重くした。
　ダービージョッキーとなったノリを鞍上に、序盤から良い行きっぷりで2番手を追走。4コーナーにかけての手応えも悪くはなかったが、直線に入ってすぐ勝ち馬に交わされると、良い頃の走りを見せることなく9着に敗れた。
　日経賞で復帰してから10着、15着、9着。失ったリズムはなかなかスルタンの元へと戻ってこないが、ここでガタガタしても仕方がない。悲願のダービージョッキーとなったノリは言った。
「20年、30年ジョッキーを続けて、いつか（ダービーを）勝てればいいと思っていた。こんなに早く勝てるとは思いませんでした」
　何度敗れようが、周りに何を言われようが、ブレずに自分を貫いてきたからこそ言える冗談であり、本心だろう。
　こっちがジタバタしたって馬は走らない。残されたマックの仔は少ないのだから、我々は可能性が0になるまで、ただひたすらに信じ続ける他はない。
　今日の結果は極悪の馬場以上に重い重いものだが、それを受け入れた上で声を大にしたい。
　スルタン閣下は必ずもう一度蘇る。
　必ず蘇る。
　必ず。
　絶対に。