メジロマックイーン関連ニュース
「メジロブリットですが、私と一緒に流鏑馬で頑張ってますよ!」
思わず涙をこぼしてしまったほど嬉しい便りをくれたのは、阿部さんという方でした。
メジロブリットは「八竜(はちりゅう)」という新しい名前を与えられ、2年ほど前から流鏑馬を頑張っているそうです。
芦毛で馬格もあり、スピードのある八竜は何処へ行っても大人気。
「八竜はメジロマックイーンの仔です」と紹介された時にはやんやの声援が飛ぶとのこと。
「11月3日に明治神宮で流鏑馬行いますのでぜひ!」
こうして4年ぶりに再会したブリットは、現役時代よりもだいぶ白く。
そしてたくさんの方から声援を受けて歩く姿は、どこか誇らしく。
競馬に対しては前向きさを欠き、後方で鞭を何度も受けていた彼の姿は、胸が締め付けられるほどに痛々しいものでしたが、この日のブリットはとても輝いていました。
射手を背に馬道をまっしぐらに駆けていく様は、実に猛々しく、今すぐにでも戦場を駆け抜けて行ってしまうのではないかと感じるほど。
そして競技進行とともに流れるあのことば。
「八竜はあの名馬メジロマックイーンの子供です」
湧き上がる歓声の中、的を狙う騎手との呼吸を合わせながら、5度、6度とブリットは馬場を疾走。
白い身体から溢れんばかりに出てくる躍動感は、彼の充実そのものでした。
「いやーこの仔は大人しくて、ほんとみんなから愛されているんですよ。ファンも多くて、この間も京都で『八竜に会いに来ました!』って方もいてね。でもスピード物凄く速くて(苦笑)。最初の一歩とかストライドが伸びるもんだから大変で(笑)。川崎競馬場で走るときなんか、競馬を思い出すのかびゅーーーーんと行っちゃってね(笑)。でも『マックイーンの仔です』なんて紹介されるとスタンドからわーって歓声が上がって、僕もそれが気持ちよくて(笑)。騎手っていいな、なんて(笑)。ジョッキーも、マックの仔なんですか? 乗せてください! なんて言ってくるんだよ」
神事終了直後でお疲れのところを呼び止めてしまった自分に対しても、嫌な顔ひとつぜず笑顔で気さくに話してくれた阿部さんは、この道40年以上の大ベテランで、パートナー・調教師としてブリットと行動しているそうです。
阿部さんの言葉や話し方、雰囲気から伝わってくる温かさに、ブリットは幸せに暮らしているんだなと、改めてしみじみと。
メジロブリットはマックとメジロランバダとの間に生まれた芦毛の牡馬。
生まれながら、いや生まれる前から天皇賞親子四代制覇という重荷を背負わされ、走りたくもない競馬を嫌々走らされた上に消息を絶っていましたが、今、彼は幸せにやっています。
マックイーンの子として紹介されることが苦しかった場所から、拍手喝采を浴びる舞台への転身。
重荷を背負わせてしまったファンのひとりとして、本当に良かったなと安堵するとともに、さする彼の額から伝ってきた温もりに僕は少し救われました。
「この仔のことを調べてたら、このサイトに出会って、ああ行方を知らないなら教えてあげなくっちゃって。そして多くの人に知ってもらえたら嬉しいよね」
流鏑馬は想像していたよりもずっと速く、ずっとずっと勇ましく、そして何より抜群にカッコいいモノでした。
ぜひ機会があれば、みなさまも生の流鏑馬の迫力を体感してみてください。
病みつきになります。
次回のブリットの登場は、11月17日に逗子海岸で行われる逗子海岸流鏑馬とのこと(詳しくはこちら)。
また毎年1月3日には、川崎競馬場でも流鏑馬を行っているそうなので、ぜひご都合のつく方は、生まれ変わったメジロブリットこと「八竜」の勇姿を見てやってください。